こわくないおばけ

日記のようなもの

八丈島

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金曜夜、10時半に貨客船橘丸は竹芝桟橋を出航した。

行き先は287km先の孤島、八丈島。船内で一泊し、島へ着くのは翌朝の9時ごろ。10時間以上の船旅だ。伊豆諸島にはこれまで、伊豆大島式根島に行ったことがあるが、どちらも高速船を使えば数時間で着く。自然豊かな亜熱帯の島、八丈島はだいぶ遠い。

乗船時間が長いので特1等和室という定員4名の客室をとった。昔、伊豆大島に行った時はハイシーズンのため、部屋はおろか座席も取れず、階段の脇の廊下に毛布を敷いて雑魚寝した。その時と比べると驚くほど快適で、部屋の四角い窓に切り取られた海を眺めながらの船旅はなんとも贅沢だった。テレビで「風立ちぬ」をやっていてぼんやり見ながら東京湾の夜は更けた。

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何度か目が覚め、船内をうろうろ探検した。ペット室には預けられた犬が一匹、不安そうにこちらを見てきた。

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明け方、三宅島を過ぎ、航路が本格的に黒潮にぶつかると波が高くなってきた。下の写真に写ってる島は三宅島から20km南のイルカに出会える御蔵島

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独特の浮遊感を伴う船の揺れがだんだん強くなってきて、気づけばもう仰向けで天井を見つめることしかできないほど気持ち悪くなってしまった。もちろん船に乗る前に酔い止め薬は飲んでいたけどそれでもだめだった。もうやめてくださいといくら願ったところで、波がおさまるわけじゃないし降りられないし、到着するまでただ耐えるしかないのは控えめにいっても地獄だと思った。同行した、八丈島にも何度も行ってる島好きの友人によると、船酔いしないコツがいくつかあるらしい。酔わない胃の向きがあるとか。そもそもあまり歩き回らない方がいいと言われた。

なんとか持ちこたえ、9時ごろ八丈島の底土(そこど)港へ到着した。

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港にレンタカー屋の人が待ち構えていて、休む間も無く車に乗らなければならずちょっとげんなりした。レンタカーのお店でボロボロの軽のワゴンを借り、まずは富士山のような円錐形の美しい八丈富士へ向かうことにした。

八丈島は、西山(八丈富士)と東山(三原山)のふたつの山からなるひょうたん型の島で、面積は山手線の内側と同じくらい。島を一周する八丈一周道路は総距離が約45kmで、車で一周すると約1時間半かかるそうだ。

八丈富士の中腹にある観光牧場に着いた。とても見晴らしが良い景色で船酔いもだいぶ治ってきた。

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反対側に見えるのは東山。山に挟まれた平地に空港が見えた。この島に飛行場を作るならここにこう作る以外ないという感じがよくわかる。風に乗って牛のよだれが飛んできた。

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八丈植物園。手入れの行き届いたきれいな植物園だけど、ジャングルチックな植生が南国の離島に探検に来た感があって、散歩するのが楽しかった。芝生に見える地面がよく見ると全面苔なのがすごい。光るキノコが見られた。なぜかキョンが飼われてる。

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静かな場所にあるなんかの沼。

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昼ごはん。漬け丼の魚の種類は忘れてしまった。味噌汁にカメノテ(磯に生息してる甲殻類の仲間で亀の手に似ている)が入っていておいしかった。

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南原千畳敷。400年前に噴火した八丈富士の溶岩が海に落ちてできた溶岩台地。遠くに見える八丈小島は、昔は人が住んでたが現在は無人島。持ち込まれて野生化したヤギが今は一匹だけで暮らしていると、島マスターの友人が言っていた。

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裏見ヶ滝。ヒカゲヘゴやオオタニワタリモンステラが自生していて沖縄の森みたいだった。

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島の南の半島付近。この辺はサーフィンスポットのようで、サーファーの人も波間にちらほら見えた。波が高いし海底は溶岩だらけで怪我しそうで怖い。

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断崖の上から滝が降り注いでいた。雨が降った後しか現れないらしい。ここの景色は火山島らしい迫力があった。

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クレソンが自生していたのでちぎって食べてみた。野生のアシタバもその辺に生えてる。

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アイスを食べに寄った商店(何の店かよくわからなかった)で、島民のおじいさんが和太鼓の叩き方を教えてくれた。八丈太鼓といってふたり1組で太鼓を両側から打ち鳴らす郷土芸能らしい。

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宿でご飯を食べたあと、みはらしの湯という丘の上の眺めの良い温泉へ行った。その後も夜釣りをしたり、星を見に行ったり、ボロボロのレンタカーからだんだん変な音がしてきたりして、島の全体からすればほんの一部しか見て回ってないが、寝る直前まで充実していた。

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翌日は八丈空港から14時の便で帰る予定だったが、午後から天気が崩れそうだったので朝9時の便に変更した。羽田まで55分。船で10時間の距離も飛行機ならあっという間だ。もちろん船旅の旅情も大変捨てがたいものがあるが、もう船酔いはこりごりなので、帰りを空路にしたのは正解だと思った。